2004年12月3日 今日のアルバイト

入力作業

ウェブの普及もあいまって、どんどんインターネットを介した古書売買手段が増えています。
例えば、ウェブ目録、ウェブ注文、ウェブ探求書などなど・・・
お店に直に出向いて目録や書籍を確認するのは、ただでさえ、なかなか骨がおれますが、それが遠隔地になれば、尚更です。
しかし、通信環境さえ揃っていれば、日本全国、果ては世界全土の書籍情報にアクセスすることができるようになりました。まだウェブ立ち読みをする、とまではいかないのかもしれませんが、それでも古書ファンにとっては大きな進歩。最近では、お店を持たず、インターネット古書店と銘打って、自分の集めてきた本をHP上で販売する形態も増えてきました。
アナログで伝統的・古典的な印象の強い古書店も、どんどん新技術の波に飛び込んでいます。

そんな事情もあり、新規入荷古書をウェブ目録に追加したり、売れた古書をウェブ目録から削除したり、といった作業の割合も、次第に増えていっています。
僕は主に、そういった仕事をアルバイトとして担当しています。

入力の現場

入力は、古書店に与えられた専門の登録アプリケーションソフトを使って行われています。そのソフトには、タイトルや執筆者名は勿論、検索サイトで流通させるためのジャンル選択を行うことができます。更に、一度登録した古書はデータとして記憶され、再入荷した時には簡単に登録しなおすこともできます。過去に登録したかどうか忘れてしまった時は、ソフトを通じて以前に入力した記録を再生することもできます。

さて、今日はそんな作業を延々6時間。和書と洋書をあわせて100冊程行いました。PCをずっと見つめているので肩も凝りますが、見知らぬ書籍に出会えばその中身をパラパラ眺めたりしながら、たまには「おっ、この本良いな」と思ってメモしてみたり、本の虫にはぞくぞくするような役得も見返りとしてあるんです。

色んな古書が古書店には舞い込んできています。今日の100冊もそうでした。
詩に関する対話、科学哲学について、言語・思想哲学、生物学、全集もの、インド宗教絵画の歩みと研究などなど・・・
中には60年も前に出版されたものもあったりし、陽に少しやけた背表紙に歴史を思うこともあります。

洋書に見る、独特な書き方の暦

洋書の表紙をめくるとすぐ、著作タイトルや著者の名前にまじって、出版された年代が目につきます。作業中、興味深い年代の書き方を目にしました。
例えば、MDCCCXLV。
実は、これはローマ数字で西暦を表したものです。
詳しくは、例えば、家辺さんの素晴らしい解説*1や、信州大学眞野先生のHP*2などを参照して頂きたいのですが、それぞれのアルファベットに決まった実数が与えられていて、それを左から右に足していく方式を採っています。
上に書いたMDCCCXLVですと、Mが1000、Dが500、Cが100、LVが40を、それぞれあらわしますので、それを全部足して、1000+500+100+100+100+40=1840となります。

古書を接していると、先人の様々な工夫や知恵が流れ込んできます。よく考えたなあ、と感心することも頻り、なんですよ。