oldbookstore2005-02-02


自転車で湯島付近を散策していると、湯島天神女坂降り口近辺に、こじんまりとしたお店があり、その中から香ばしい珈琲の香りが漂って来ます。おや、何だろう、と思って見てみると、「やなか珈琲」(http://www.yanaka-coffeeten.com/)という店名。湯島だけど、谷中。ちょっと御邪魔してみよう、と思い、店内へ。お店には、一人の優しそうな男性がいました。周囲を見ると、どうやら珈琲豆を専門に売っているお店のようです。珈琲は好きだけれど、今まであまり深く考えずに飲んできた方なので、豆を見ても何が何やら、さっぱりわからず、マスターに、「店内で珈琲は飲めないのですか?」と、素頓狂な質問をしてしまいました。でも、マスターは優しく、「飲めますよ。150円」と仰る。150円。安い。珈琲を入れてもらって一口飲むと・・・衝撃的でした。自分は今まで、珈琲を本当に飲んでいるとは言えなかったのだなあ、と。素直に、「美味しい・・・」嘆息。
マスターによると、加工した珈琲豆は暫く置いておくだけで空気と触れて酸化してしまい、味が落ちてしまうのだそう。だから、このお店では豆を炒らずに、そのままの素材で提供しています。「じゃあ、豆を炒ったり粉にできない人はどうするのでしょう?」と言うと、そういう人のために、お店で炒ったり、粉にしたり、頼めばその場で作業してくれるとのこと。ということは、さきほど飲んだ珈琲に近い味が家庭でも・・・。これは買わずにいられない。
そこで、豆を見ると、7とか10とか、数字がついています。これは何か、と聞いてみると、ローストの強弱によって、豆から出る油分の量が変わってくるらしく、コクや酸味といった微妙な味の変化があらわれてくるそうです。確かに、5の豆は乾燥しているように見えるし、10の豆は焦げて黒く、豆の表面が油でテカッています。
僕の家には珈琲豆を加工する環境が無いので、粉にしてもらうまでお願いしました。マスターは黒い、炒るための機械のスイッチを操作し、その中に豆を流し込みます。温度調整の後、機械の内部にあるテーブルが徐に回転を始め、白い豆がそれにあわせてグルグルグルグル回ります。ほぉー、と、感心してその光景を見ていると、やがて、白かった豆が茶色く、そして黒く変わっていきます。豆がちゃんと炒れるまで、およそ15分。その間にも、マスターはまた別の珈琲を淹れてくれ、なんと無料で振舞ってくれました。今度は少し酸味の強い味。でも、ブラックがよく合う!美味い美味い。
印象的だったのが、マスターの言葉。「珈琲って奥が深いんですねえ」という僕の感想に対し、「珈琲も文化ですものね」そうだよなあ。文化。

今日は良い出会いがあった。マスターのおじさん、本当に色々と有難うございました。また行きますね!