雑誌「散歩の達人」2005年3月号*1を買いました。今月号は「住みたい町」特集です。切り口が面白そうだったので購入を決めました。色々な尺度*2から編集部が選んだ各種ランキングや東京中心の各種町ネタトピックが掲載されています。興味深く読ませて頂きました。

うーむ、読んでみて思うのは良い意味でも悪い意味でも「住んでみるまでわからない」ということかなあ。「わからない」が故に、知らない町に思いを馳せたり、実際に足を運んで新鮮な驚きを受けたりできるのだろうけれど、一方で、そういう魅力が日常生活をその町で送ろうと思う場合に必ずしも歓迎されるものではないケースが多いこともまた、「わからない」。
例えば、新宿区の大久保に住みたい人の意見として、「一番住みたい町」ランキングのコメント欄に「裏通りに入れば静か」というものがあります。僕は数年間、その大久保の裏通りに住んでいたので、裏通りの住宅街は静かという意見には実感からも賛成するのですが、それは事実の一面に過ぎず、だからといって住環境の快適さにつながるとも限らないのです。実際に部屋を借りて住んでみると、夜中にはその裏通りで甲高い女性の悲鳴があがったりするし、携帯電話で怒鳴り散らしている声(外国語)が聞こえてくるし、隣人はほぼ間違いなく韓国人か中国人で(夜の商売をしている人が多い)文化がまったく違い、ストレスを溜めることがあります。*3一見、その町の魅力となっている事実も、住んでみると意外なところで障害になったりします。まさに「住んでみるまでわからない」のだなあ、と思うのです。
話変わって本郷関連の記事としては、地下鉄南北線東大前駅周辺の町ネタを拾うものがありました。この記事についても挙げられている事実は確かにそうなのですが・・・。その事実から持って行く結論や感想が飛躍しているというか、面白おかしく書きすぎて誤解を呼びそうと言うか・・・。うむむ。
住まいを決める上で大事なのはやはり、住むことを決定する前に何度も何度も足を運んで、出来るだけ日常生活に近い関係をその土地と結ぶ努力をすることなんだろうなあ。とはいえ、その努力が限られた時間と労力の中で負担としてすごく重いものであることも重々承知しているのですが・・・。最低限しておくと良さそうなことは、積極的に町の人と話すことだと僕は思います。住居の近くにある個人商店のおじさんに、美味しいお店を聞いてみるとか。飲食店でご主人と雑談したり、お客さんとお店がどういうスタンスで接しているかを見てみるとか。八百屋さんで買い物客が軒先でのほほんと井戸端会議しているかとか。古株の住人はその町の水準を映していると思います。人情味あふれる暖かい人たちが沢山住む町は、やっぱり暖かい。少なくとも僕は、そういう町に住みたい。

*1:散歩の達人については、http://www.kotsu.co.jp/magazine/sanpo/index.html

*2:「飲みやすい町」、「商店街が充実」など。しかし、「イメージの良い沿線」というあまりにも抽象的な尺度は如何なものかなあ、とも思ってしまう。イメージって何だ?一応注釈はあるのだけれど・・・。この項目は無くても良かったかもしれないなあ

*3:僕は隣人の韓国人の理解できない習慣が原因で大久保を離れました。感じの良い方々との出会いも同じように少なからず会った分、残念ではありましたが・・・