大学図書館が売却した思想哲学関係の本をひたすら入力しました。哲学史関係の学者さんに謹呈された本の中に、薄桃色の便箋2枚が挟まっています。筆ペンで流れるように書かれた上品な文字。趣味が悪いとはわかっていても、中身をチラッと読んでしまう。女性らしい細やかな文体。著者略歴をみると、今やもう、高齢の方です。執筆当時も、かなりの年齢でした。
謹呈本といえば、「謹呈 ○×様」と書かれた紙切れが入っているだけのことが多いのですが、このような丁寧な手紙が共に挟まっていると、謹呈対象者に向ける執筆者の柔らかな心遣いが染み込んでくるようで、何だか愛しい。謹呈なさった女性学者については今日まで存じ上げなかったけれど、これを機会にちょっと他の本も探してみようかな、と思いました。
しかし一方で、その謹呈先である学者さんが、その本を手に取った形式が無いように見受けられるのが何とも・・・。もしかしたら、手紙すら読んでいないのではないか(というのも、その手紙は綺麗に折り畳まれたままで、開かれた後のように見えなかった)と思うと、見ず知らずの第三者のことながら、少なからずツラくなってしまう・・・。考えすぎかなあ。