「日本の古本屋」さん(http://www.kosho.or.jp/)から頂いたMLより以下、一部抜粋させて頂きます。
(文章使用に伴う権利関係で問題等あれば、御手数ですが御一言願えれば幸いでございます。すぐに削除等対応致します)

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11月3日。102歳の古本屋が亡くなりました。品川力さん。
本郷・ペリカン書房の主です。古書業界に入るのは震災前。昭和初頭には東大近くの落第横丁でキッチン・ペリカンを始め、若き日の作家たちと交わり、織田作之助らと一緒に文芸誌を出したりもしました。

いつ頃までだったのか、腰手ぬぐいに麦わら帽子、冬でも同じ格好で神保町界隈を自転車で走った品川さんを見かけたものでした。
遠くても、お客さんのところへは自転車で本を届けていたのです。そんなことから「文献配達人」と呼ばれるようにもなりました。

新刊書店がどんどん巨大化し、産業化する一方で、古本屋の世界は、依然としてとても小さなものです。
でも、ここでは店主の個性がそのまま本屋の個性として生き続けています。

いつまでも本を探し、見つけ、それを持って手渡したい人のもとへ自転車を走らせる。きっとそれは、私たち古本屋の原点なのかもしれません。
今月は、在りし日の「文献配達人」=ペリカン書房品川力さんを偲び特集を組みました。

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品川さんとペリカン書房、そして古本への暖かい思いがよく伝わる、すばらしい文章だなあ、と思って抜粋・引用させて頂きました。
尚、以下のウェブサイトでは、品川さんにゆかりのある5人の方が追悼文章を執筆されています。
http://www.kosho.ne.jp/~yomimono/

何でも手に入る新刊書店。とても便利です。役に立ちます。僕もよく利用します。
更には、ここ数年、ウェブショッピングが特に身近になりました。amazonやコンビニチェーンを窓口にしたウェブ販売などなど、家にいながら本が探せる・買えるようになりました。益々便利になっています。
でも、それでも古本屋へ行ってしまうのは何故かなあ、と、ふと思います。
多分・・・きっと、僕が魅かれているのは古本屋の「人柄」なんだろうなあ、と考えています。お店の佇まいや棚の作り方、専門分野、色んな所から古本屋の飾らない姿が感じられる。それが楽しい。新刊店でも、小ぶりで個性的なお店が増えてきているけれど、何となく「違うなあ」という気持ちが残ります。どちらが良い悪いというのではなく、棲み分けの問題というか・・・。

一見、単なる古い本、忘れ去られそうな本に価値を与えて売る。まさに価値付与者の力量が問われるところだし、言葉を介さなくても、古本の売買を通じて、訪れた古本屋さんと生々しいコミュニケーションが出来ている気分になります。まさに古本は、お店のありようを映す鏡のようなもので「古書は人なり」という言葉を想起させられてしまいます。

「古書は人なり」の最前線に立ち、唯一無二の価値を提供し続けたペリカン書房さんと品川さんの御努力に敬服します。